レイヤ2検出プロトコル
レイヤ2検出プロトコルとは、直接接続された隣接機器(ネイバー)どうしが、お互いの情報(機器識別子(ホスト名等)・ポート情報・機種・管理用IPアドレス等)を自動的に交換し合う仕組みです。ケーブルの接続先を手作業で台帳管理しなくても、実際のネットワーク構成をコマンドから確認できるようになるため、構成管理やトラブルシューティングで広く活用されます。
CDP(Cisco Discovery Protocol)
CDPは、Cisco独自(プロプライエタリ)のレイヤ2検出プロトコルです。Cisco IOS/IOS XEを搭載する多くのCisco製機器では初期状態で有効ですが、プラットフォームやソフトウェアの設定によって異なります。CDPは主にCisco製機器間で利用されます。
- グローバルに無効化:
no cdp run(IP電話などCDPに依存する機器の動作に影響する場合があるため注意が必要です) - インターフェイス単位で無効化:
no cdp enable - 確認コマンド:
show cdp neighbors(概要)、show cdp neighbors detail(管理用IPアドレスやネイティブVLANを含む詳細情報)
Switch# show cdp neighbors
Capability Codes: R - Router, T - Trans Bridge, B - Source Route Bridge
S - Switch, H - Host, I - IGMP, r - Repeater, P - Phone,
D - Remote, C - CVTA, M - Two-port Mac Relay
Device ID Local Intrfce Holdtme Capability Platform Port ID
RouterA Gig 0/2 132 R S I ISR4331 Gig 0/0
IPPhone1 Gig 0/3 170 P CP-7960 Port 1Capability列は、隣接機器の種類(R=ルータ、S=スイッチ、P=IP電話等)を示し、Local Intrfce・Port ID列から、どのポートどうしがケーブルで直接つながっているかを読み取れます。
LLDP(Link Layer Discovery Protocol)
LLDPは、IEEE 802.1ABで標準化された、ベンダーに依存しないレイヤ2検出プロトコルです。LLDPをサポートし、送受信を有効化した他ベンダーの機器との間でも情報交換ができます。Cisco IOS/IOS XEでは、CDPとは異なり、初期状態では無効であることが一般的ですが、プラットフォームやソフトウェアの設定によって異なります。
Switch(config)# lldp run- グローバルに無効化:
no lldp run - インターフェイス単位で送受信を無効化:
no lldp transmit/no lldp receive - 確認コマンド:
show lldp neighbors(概要)、show lldp neighbors detail(詳細情報)
Switch# show lldp neighbors
Capability codes:
(R) Router, (B) Bridge, (T) Telephone, (C) DOCSIS Cable Device
(W) WLAN Access Point, (P) Repeater, (S) Station, (O) Other
Device ID Local Intf Hold-time Capability Port ID
RouterA Gig0/2 120 R Gig0/0
Total entries displayed: 1CDPとLLDPは、どちらも「隣接機器の機器識別子・接続ポート・機器種別が確認できる」という点で似た情報を提供しますが、LLDPは他ベンダー製の機器(Capability codesに(W)無線APなど、CDPには無い区分も含まれます)とも情報交換できる点が異なります。
CDPとLLDPの比較
| 観点 | CDP | LLDP |
|---|---|---|
| 標準化 | Ciscoプロプライエタリ | IEEE 802.1AB(業界標準) |
| 対応機器 | 主にCisco製機器間で利用 | LLDP対応機器(ベンダー非依存) |
| 初期状態 | Cisco IOS/IOS XEでは一般に有効 | Cisco IOS/IOS XEでは一般に無効(lldp runで有効化が必要) |
マルチベンダー環境では、他社製機器との情報交換にLLDPが必要になる場面がある一方、Cisco製機器のみで構成された環境では、初期状態で動作するCDPがそのまま活用できます。
EtherChannel
EtherChannelは、スイッチ間(またはスイッチとルータ・サーバー間)を接続する複数の物理リンクを、1本の論理リンクとして束ねる技術です。EtherChannelを使うことで、次のような利点が得られます。
- 束ねた本数分、ポートチャネル全体の集約帯域幅を拡大できる。通常、単一フローは1本の物理リンクを利用する
- 1本のリンクが切れても、残りのリンクで通信を継続できる(冗長性)
- 複数の物理リンクが同じ論理リンクとして扱われるため、スパニングツリーがそれらのリンクの一部をブロックする必要が無くなる
LACP(Link Aggregation Control Protocol)
EtherChannelを構成する方式には、ネゴシエーションを行わない静的設定と、ネゴシエーションを行う方式があります。ネゴシエーションを行う方式には、業界標準のLACPのほか、Cisco独自のPAgPがあります。CCNA 200-301の出題範囲では、業界標準であるLACPが対象となっています。LACPは、ネゴシエーションを行う方式に用いる業界標準のプロトコルです。
LACPには、次の2つの動作モードがあります。
- active:積極的にLACPネゴシエーションを開始します。
- passive:相手側からのネゴシエーション開始を待ちます。
LACPを使用するEtherChannelが成立するには、両端の少なくとも一方がactiveモードである必要があります。両端がpassiveモードどうしの組み合わせでは、どちらもネゴシエーションを開始しないため、EtherChannelは形成されません。
設定コマンド
束ねる対象の各物理インターフェイスに対して、同一装置上では同じチャネルグループ番号を指定してchannel-groupコマンドを設定します。チャネルグループ番号は、対向機器側と一致させる必要はありません。
Switch(config)# interface range GigabitEthernet0/1-2
Switch(config-if-range)# channel-group 1 mode active設定後は、自動的に作成される論理インターフェイス(Port-channel1)に対して、トランクポート・アクセスポートなどの共通設定を行うのが原則です。物理インターフェイスにはchannel-groupの設定が必要であり、メンバー間およびPort-channelとの設定に不整合がないことも必要です。
Switch(config)# interface Port-channel1
Switch(config-if)# switchport mode trunkレイヤ2とレイヤ3のEtherChannel
- レイヤ2 EtherChannel:束ねたリンクをスイッチポート(アクセスまたはトランク)として扱う、最も一般的な構成です。
- レイヤ3 EtherChannel:マルチレイヤスイッチでは、束ねる各物理インターフェイスを
no switchportコマンドでルーテッドポートに切り替えてからチャネルグループ化し、生成されたPort-channelインターフェイスに直接IPアドレスを割り当て、ルーテッドリンクとして扱う構成です。もともとルーテッドポートである機器では、no switchportは不要です。
設定の確認
show etherchannel summaryコマンドで、EtherChannelの状態(束ねられているインターフェイス、プロトコル、状態)を確認できます。
Switch# show etherchannel summary
Flags: D - down P - bundled in port-channel
I - stand-alone s - suspended
H - Hot-standby (LACP only)
R - Layer3 S - Layer2
U - in use f - failed to allocate aggregator
M - not in use, no aggregation
Number of channel-groups in use: 1
Number of aggregators: 1
Group Port-channel Protocol Ports
------+-------------+-----------+-----------------------------------------------
1 Po1(SU) LACP Gi0/1(P) Gi0/2(P)Po1(SU)のSはレイヤ2(スイッチング)としてEtherChannelが構成されていること、UはEtherChannelが正常に稼働中(in use)であることを示します。各物理インターフェイス欄の(P)は、そのインターフェイスがEtherChannelにバンドルされていることを表しています。(P)ではなく(I)(スタンドアロン)や(s)(サスペンド)と表示されている場合は、物理インターフェイスがEtherChannelにバンドルされていないことを示します。LACPの設定、対向機器との接続、設定の不整合などを確認します。