物理インターフェイスとケーブルの種類

ネットワーク機器どうしを実際に接続するケーブル・インターフェイスには、大きく分けて銅線(メタルケーブル)と光ファイバの2系統があります。

UTPケーブル(銅線)

UTP(Unshielded Twisted Pair、非シールドツイストペア)は、企業LANで最も広く使われる銅線ケーブルです。2本の銅線をより合わせた「ペア」を複数束ねた構造で、より合わせることで外部からのノイズの影響を打ち消す仕組みになっています。コネクタにはRJ-45が使われます。

UTPケーブルは、対応する伝送速度・周波数帯域に応じてカテゴリ(Cat)が分かれています。

カテゴリ対応する主な速度
Cat 5e1 Gbps(Gigabit Ethernet)
Cat 610 Gbps(一般に最長55m。敷設条件による)
Cat 6a10 Gbps(100mまでフルサポート)

数字が大きいカテゴリほど、より高い周波数帯域・伝送速度に対応しています実際の対応速度・距離は規格の詳細(TIA/EIA-568等)によって細かく規定されていますが、CCNA 200-301の出題範囲では、カテゴリが上がるほど高速な通信に対応できるという大まかな傾向を理解していれば十分です。[1]。

光ファイバケーブル

光ファイバは、電気信号ではなく光信号でデータを伝送するケーブルです。電磁ノイズの影響を受けない、銅線よりはるかに長い距離を伝送できる、といった利点があります。コネクタにはLC・SC等の種類があります。

  • マルチモードファイバ(MMF:Multi-Mode Fiber):コアの直径が太く、複数の角度(モード)の光が同時にコア内を伝播します。短〜中距離(数百m程度)向けで、コストが比較的安価です。
  • シングルモードファイバ(SMF:Single-Mode Fiber):コアの直径が細く、レーザー光源を使って基本的に単一の伝搬モードで光を伝送します。モード分散が起きにくいため、長距離(数km〜数十km)の伝送に向いていますが、コストはマルチモードより高くなります。

ストレートケーブルとクロスケーブル、Auto-MDIX

UTPケーブルには、内部の配線パターンの違いにより、ストレートケーブル(straight-through)とクロスケーブル(crossover)の2種類があります。

従来のEthernetでは、ポートの送受信ピン配置であるMDIとMDI-Xの組合せにより使い分けます。

  • ストレートケーブル:MDIポートとMDI-Xポートを接続する際に使います。従来の例では、PCやルータのMDIポートとスイッチのMDI-Xポートの接続です。
  • クロスケーブル:同じ配線種別のポートどうしを接続する際に使います。従来の例では、スイッチ↔スイッチ、PC↔PCなどです。

ただし、現在の多くのスイッチ・ルータのインターフェイスにはAuto-MDIX(Automatic Medium-Dependent Interface Crossover)という機能が搭載されています。Auto-MDIXが有効なインターフェイスがあれば、ケーブルの配線パターン(送信・受信ピンの割り当て)を自動的に検出・調整するため、ストレートケーブルとクロスケーブルのどちらを使っても正しく通信できます。このため、近年は「同じ種類の機器どうしは必ずクロスケーブル」という判断そのものがあまり必要とされなくなっています。

コンソールケーブル

これまでのケーブルがデータ通信用であるのに対し、コンソールケーブルは、PCからスイッチ・ルータの管理用ポート(コンソールポート)へ接続し、初期設定やCLIでの管理操作を行うための専用ケーブルです。通常のEthernetフレームの転送には使われません。

インターフェイスとケーブルの問題の特定

物理層の障害は、show interfacesコマンドの出力を確認することで、多くの手がかりが得られます。

Switch# show interfaces GigabitEthernet0/1
GigabitEthernet0/1 is up, line protocol is up (connected)
  ...
  Full-duplex, 1000Mb/s, media type is 10/100/1000BaseTX
  ...
     5 input errors, 2 CRC, 0 frame, 0 overrun, 0 ignored
     0 output errors, 0 collisions, 0 interface resets

リンクの状態(up/down)の見方

show interfacesの1行目にある「is up/down」(物理層の状態)と「line protocol is up/down」(データリンク層の状態)は、それぞれ別の情報を示しています。状態の組合せと代表的な原因は、インターフェイス種別によって異なります。

  • administratively down:管理者がインターフェイスをshutdownコマンドで無効化している状態です。
  • down / down:物理的にリンクが確立できていない状態です。ケーブルの未接続・断線、対向機器の電源断などが典型的な原因です。
  • up / down:物理層(ケーブル・信号)は正常だが、データリンク層に問題がある状態です。シリアルインターフェイスでは、カプセル化の不一致などが典型的な原因です。Ethernetインターフェイスでは、機種の表示と設定を確認します。
  • up / up:物理層とデータリンク層のラインプロトコルが動作している状態です。IPアドレス、VLAN、ルーティングなどの上位層の設定による疎通までは保証しません。

デュプレックス(duplex)・速度のミスマッチ

接続された両端の機器で、デュプレックス設定(全二重/半二重)または速度設定が食い違っていると、通信の性能低下やエラーの増加を引き起こします。

対応するCisco IOSスイッチでは、デュプレックス・速度をインターフェイスコンフィギュレーションモードで手動固定することもできます。

Switch(config)# interface GigabitEthernet0/1
Switch(config-if)# duplex full
Switch(config-if)# speed 1000

duplex/speedのいずれも、対応する機種・インターフェイスではautoを指定すれば、手動固定をやめて自動ネゴシエーションに戻せます。デュプレックスミスマッチのトラブルシューティングでは、両端の設定が「両方ともauto」または「両方とも同じ値で手動固定」のどちらかに揃っているかを確認するのが基本です。

複数ポートを一括で確認する

ここまでのshow interfacesは、指定した1つのポートについて詳細な情報を表示するコマンドですが、スイッチ全体を素早く見渡してデュプレックス・速度のミスマッチが疑わしいポートを探したい場合は、show interfaces statusコマンドが便利です。

Switch# show interfaces status

Port      Name               Status       Vlan       Duplex  Speed Type
Gi0/1                        connected    1          full    1000  10/100/1000BaseTX
Gi0/2                        connected    1          a-half  a-100 10/100/1000BaseTX
Gi0/3                        notconnect   1          auto    auto  10/100/1000BaseTX

このコマンドは、スイッチ上の表示対象となるポートについて、接続状態(Status)・所属VLAN・デュプレックス・速度を1画面の表形式で一覧表示します。show interfaces <インターフェイス名>のようにポートを1つずつ確認していく方法に比べ、スイッチ全体の中からデュプレックス・速度の設定が周囲のポートと食い違っているポートを短時間で見つけ出せる点が特徴で、「インターフェイスとケーブルの問題の特定」の実務でよく使われます。Duplex/Speed列の先頭に付くa-は、その値が自動ネゴシエーションによって決定されたことを示します。表示形式や利用できる列は、スイッチの機種およびIOS/IOS XEのバージョンによって異なる場合があります。

エラーカウンタの読み方

  • 入力エラー(input errors)・CRCエラー:ケーブルの品質不良、コネクタの接触不良、電磁ノイズ、ケーブル長の規格超過などが典型的な原因です。CRCエラーは、フレームが伝送中に破損したことを示します。
  • ランツ(runts):規定の最小フレーム長(64バイト)に満たないフレームです。衝突による短いフレーム片などで発生します。
  • ジャイアント(giants):設定された規定の最大フレーム長を超えるフレームです。壊れたフレームのほか、ジャンボフレーム設定の不一致などでも発生します。
  • 衝突(collisions):半二重リンクではCSMA/CDにより発生し得ますが、多発や遅延衝突は異常を疑います。全二重で動作しているポートでは衝突は発生せず、カウンタは通常0です。デュプレックスミスマッチ時は、半二重側で衝突や遅延衝突が増加し、全二重側ではCRCエラーが増加することがあります。

これらのカウンタが継続的に増加している場合、物理層(ケーブル・コネクタ・トランシーバ)の問題、またはデュプレックスミスマッチなどのリンク設定不一致がある可能性を確認します。


補足

  1. 実際の対応速度・距離は規格の詳細(TIA/EIA-568等)によって細かく規定されていますが、CCNA 200-301の出題範囲では、カテゴリが上がるほど高速な通信に対応できるという大まかな傾向を理解していれば十分です。 ↩
  2. 正常な全二重通信では衝突(コリジョン)自体が本来発生しません。にもかかわらず遅延衝突が発生している場合、片方が半二重で動作している可能性が高いと判断できます。 ↩