アクセシビリティとは

アクセシビリティ(accessibility)とは、視覚・聴覚・運動機能等に障害のあるユーザーも含め、誰もがコンピュータを支障なく利用できるようにするための配慮・仕組みのことです。出題範囲は「知識」(awareness)レベルであり、各機能を実際に細かく設定する手順よりも、どのような機能・支援技術が存在し、それぞれが何のためのものかを把握していることが求められます。

AccessX:キーボードアクセシビリティ設定

AccessXは、X Window SystemのXKB(X Keyboard Extension)が提供する、キーボードおよびポインティングデバイス向けのアクセシビリティ機能です。GNOME等のデスクトップ環境は、これらの機能を設定するための画面を提供します。

機能説明
Sticky Keys(固定キー)CtrlやShift等の修飾キーを、他のキーと同時に押さなくても、順番に押すだけで組み合わせとして扱えるようにする機能。複数のキーを同時に押すことが難しいユーザー向け
Slow Keys(スローキー)キーを押してから、実際にその入力が受け付けられるまでに一定の遅延を設けることで、意図しない誤入力を防ぐ機能
Bounce Keys(バウンスキー)同じキーが短時間に連続して押された場合、2回目以降の入力を無視する機能(手の震え等による意図しない連打を防ぐ)
Toggle Keys(トグルキー)Num Lock・Caps Lock等のオン・オフを切り替えるキーが押されたときに、音で通知する機能
Mouse Keys(マウスキー)テンキー(数字キーパッド)を使って、マウスポインタの移動やクリック操作を行えるようにする機能

視覚設定・テーマ

視覚に関するアクセシビリティ機能の名称や提供方法は、GNOMEのバージョンやディストリビューションによって異なります。

機能説明
High Contrast(ハイコントラスト)テーマ画面の要素(ウィンドウ、ボタン等)のコントラストを強くし、視認性を高めるデスクトップテーマまたは設定
Large Print(拡大文字)デスクトップ全体のフォントサイズを拡大し、文字を読みやすくする設定
Screen Magnifier(画面拡大鏡)画面の一部を拡大して表示するツール(GNOMEではZoomという拡大鏡機能が提供される)

支援技術(Assistive Technologies)

支援技術説明
Screen Reader(スクリーンリーダー)画面上のテキストや操作対象を音声で読み上げる支援技術。視覚障害を持つユーザーが、画面を見なくても操作内容を把握できるようにする
Braille Display(点字ディスプレイ)画面の内容を点字(物理的に上下する突起)として提示するハードウェア機器
On-Screen Keyboard(オンスクリーンキーボード)画面上に表示された仮想的なキーボードを、マウスや他の入力デバイスでクリックして操作する機能。物理的なキーボード操作が困難なユーザー向け
Gestures(ジェスチャー)タッチスクリーンやタッチパッド等で、指の動きによって操作やナビゲーションを行う入力方式。利用できる操作はデバイスやデスクトップ環境によって異なる

具体的なソフトウェアの例

ソフトウェア役割
OrcaGNOMEプロジェクトが開発する、フリー・オープンソースのスクリーンリーダー。音声合成や点字ディスプレイへの出力に対応し、GNOME 2.16以降、GNOMEの既定のスクリーンリーダーとして採用されている
GOK(GNOME On-screen Keyboard)GNOME向けのオンスクリーンキーボード。物理的なキーボードが無くても、画面上のキーボードを操作してアプリケーション・デスクトップを利用できるようにする。歴史的なソフトウェア例であり、現行のGNOMEやディストリビューションでは提供されない場合がある
emacspeakEmacsエディタに音声出力機能を統合した、視覚障害を持つユーザー向けの支援技術。単なる画面読み上げにとどまらず、カーソル周辺の文脈情報や操作に応じた効果音を使い分ける「音声によるデスクトップ環境」として設計されている